こんにちは！カフェを経営していると、「お客さんがなかなか増えない」「競争相手が多くて目立たない」といった悩みを抱えることはありませんか？
- 最初は話題になったけれど、最近はお客さんが減っている。
- 近くに新しいカフェが増え、どう差別化するか悩んでいる。
- 地元では知られているが、遠方からのお客さんがなかなか来ない。
この記事では、こうした悩みを解決するために、特にカフェの「コンセプト設計」に焦点を当て、地方でも成功するための戦略をわかりやすく解説します。
地方のカフェでよくある問題点
地方でカフェを運営する際には、特有の悩みが出てくることが多いです。これらの問題を理解し、対策を考えることで、カフェ経営をより安定させ、成功に近づけることができます。以下では、特に地方のカフェでよく見られる悩みを整理し、その対策のヒントを提供します。
集客の難しさ
地方のカフェは、都会と比べて人口が少ないため、お客様を集めるのが難しいことがあります。観光客をメインにしているエリアでは、観光シーズンが終わると集客がさらに厳しくなることが考えられます。地域の人々がリピーターになってくれるような工夫が必要です。
近隣のカフェとの競争
地方では、限られたエリア内でカフェ同士が競争することが多くあります。同じようなスタイルのカフェが近くにある場合、お客様を奪い合いになり、価格を下げる競争に巻き込まれることもしばしば。
認知度の低さ
地方のカフェは、都市部のように多くの人に知ってもらえる機会が少ないため、認知度を上げるのが難しいです。広告やSNSをうまく使わないと、新しいお客様を呼び込むのが困難になります。特に観光客や新しく引っ越してきた人たちにどう情報を届けるかも重要です。
スタッフの確保が難しい
地方では、良いスタッフを見つけるのが難しいことがあります。サービス業ではお客様に対する対応が重要ですが、地方ではその担い手が限られています。季節による売上の変動
地方のカフェは、季節によって売上が大きく変わることがあります。特に観光地に依存している場合、オフシーズンになると売上が落ち込むことがあります。季節に合わせた特別メニューやイベントを企画し、オフシーズンでもお客様を呼び込むことが重要です。
カフェにとってコンセプトがどう活きるのか
カフェを成功させるために、コンセプトは非常に重要です。単なるデザインやメニューの選択ではなく、コンセプトはお店全体の方向性を決める核となる要素です。競争の激しい業界で、他店と差別化を図るには、明確で独自性のあるコンセプトが不可欠。
ここでは、カフェ経営においてコンセプトがどのように機能し、その効果がどのように現れるのかを具体的に説明します。
カフェにおけるコンセプトの役割
コンセプトはカフェの核となるアイデアであり、すべての決定がこのコンセプトに基づいて行われます。
現代は「意味」を求める時代
現代では、消費者は単に商品やサービスを購入するのではなく、その背後にある「意味」や「ストーリー」も求めています。カフェにおいても、提供する体験や価値がどのようなものであるかが重要です。
コンセプトを作ることのメリット
コンセプトが明確であると、カフェ運営には次のようなメリットがあります。
差別化が図れる
明確なコンセプトがあれば、他のカフェとの差別化が容易になります。
ブランドの一貫性が保てる
コンセプトに基づいて運営されることで、ブランドの一貫性が維持され、お客様に強い印象を残すことができます。
お客様の期待に応えやすくなる
明確なコンセプトがあることで、お客様が何を期待できるかがはっきりし、その期待に応えることができるようになります。
実際の企業での例
このコンセプトは、サステナビリティとデザイン、ホスピタリティを大切にし、ゲスト・地域・地球に良い循環をもたらすことを目指しています。例えば、カフェの一部の床や壁には、ブルーボトルコーヒーで出たコーヒー豆の抽出殻を顔料として使用し、サステナブルで美しい空間を作り上げています。こうした取り組みを通じて、環境に配慮しながらも高品質なコーヒー体験を提供し、カフェ全体が一貫したコンセプトを体現しています。
参考: ブルーボトルコーヒー代官山カフェ
コンセプトの作り方を実例付きで詳しく解説
地方でカフェを経営する際、コンセプトの設定はとても大切です。メニューや内装を決めるだけでは、他のカフェと差別化するのは難しいでしょう。カフェ全体のテーマやメッセージを決めるコンセプトがしっかりしていないと、地域の中で埋もれてしまうこともあります。
しかし、適切なコンセプトを作るには、ターゲット層やそのニーズ、競合店との差別化、自店の強みなど、いくつかの要素を考えなければなりません。
この章では、地方のカフェではコンセプトをどのように作ればよいのか、具体的な手順をわかりやすく解説します。また、実際に架空のカフェ「森のカフェ」を例に取りながら、どのようにしてコンセプトを決めるのか、その手順を詳しく説明していきます。
コンセプト設計の基本ステップ
コンセプトを設計する際の基本的な流れは、次のようなステップで進めます。
ターゲットを明確にする
まず、どのようなお客様をターゲットにするのかを決めます。ターゲット層の年齢や性別、ライフスタイル、趣味などを考え、それに合ったカフェの方向性を設定します。
ターゲットが求める「価値」を見つける
ターゲットが何を求めているのかを探ります。単にコーヒーが美味しいだけでなく、どんな体験や価値を提供できるかを考えることが大切です。この「価値」は、表面には出てこない隠れたニーズや欲求を指します。
競合店と差別化する方法を考える
見つけたニーズや価値をもとに、他のカフェでは真似できない、独自の提供方法を考えます。これが、ターゲットにとって「このカフェを選ぶ理由」になります。
架空のカフェ「森のカフェ」を設定
森のカフェは、自然が豊かな地方にあるカフェです。地元で取れた新鮮な食材を使ったメニューを提供し、店内から自然を楽しめるようなコンセプトを設計したいです。また、競合店との差別化として、地元の木材を使った内装を採用し、環境にも配慮した持続可能なカフェを作り上げました。
次の章では、この「森のカフェ」の例をもとに、ターゲットの決め方についてさらに詳しく解説していきます。
カフェのターゲットを決める
そもそもターゲットとは？
ターゲットとは、あなたのカフェが特に注力したいお客様のグループです。このターゲットを明確にすることで、メニューの内容やインテリア、サービスの形態をよりお客様に適したものにすることができます。
例えば、若い世代をターゲットにしたカフェなら、インスタ映えするメニューやおしゃれなインテリアが効果的です。一方、落ち着いた雰囲気を求めるシニア層をターゲットにするなら、静かな環境やヘルシーなメニューが重視されます。
カフェのターゲットをどう決める？
ターゲットを決定する際には、立地条件や周辺の環境、そして既存の競合店がどのようなお客様をターゲットにしているかを考慮することが大切です。
例えば、オフィス街にあるカフェであれば、忙しいビジネスパーソンをターゲットにし、スピーディなサービスとテイクアウトメニューに力を入れることが考えられます。また、住宅街にあるカフェなら、週末に家族連れが集まるような空間作りが効果的です。
逆に言えば、オフィスが近隣に無いのにビジネスパーソンをターゲットにするのは、ターゲットの選定として間違っています。単なるイメージでなく、現実的な周辺環境をイメージしましょう。Googleマップと照らし合わせながらだと、よりイメージが湧くかもしれません。
架空のカフェ「森のカフェ」の具体例
このカフェは自然豊かな環境にあり、リラックスした時間を過ごしたい地元住民を主なターゲットとしています。週末には家族連れが訪れやすいようにキッズメニューを提供し、平日には高齢者が集まりやすいように静かな読書スペースを設けています。また、地元の食材を活かしたメニューを強調することで、地域の人々に愛されるカフェとなっています。
カフェのカスタマーインサイトを探る
カスタマーインサイトとは？
カスタマーインサイトとは、お客様が抱える潜在的なニーズや悩み、欲求を指します。表面的には見えにくいですが、これを理解することで、カフェのサービスやメニュー、店舗の雰囲気をよりターゲットに合ったものにすることができます。
カスタマーインサイトを的確に捉えることで、他のカフェと差別化を図ることができ、リピーターを増やすことが期待されます。
カフェのターゲットが抱えるインサイトを見つける
ターゲットのカスタマーインサイトを見つけるためには、直接的なコミュニケーションや観察、データ分析が必要です。しかし、お客様に「何を求めていますか？」と聞いても、即答できないことがほとんどです。
そこで、例えば家族連れのお客様をターゲットにしている場合、次のような「あえて直接的でない」質問が有効です。
「どのような時にこのカフェを利用しようと思いますか？」
この質問は、お客様の来店動機やカフェを訪れるシチュエーションを明らかにします。間違っても「当店に来る動機はなんですか？」と聞いてはいけません。これにより、お客様がカフェに求める役割を把握しやすくなります。
「お子様と一緒に外食する際に、どのようなことが気になりますか？」
これにより、子供連れのお客様が抱える不安や期待を知ることができます。例えば、「子供が騒いでも気にならない雰囲気」や「子供向けメニューが充実していること」などのインサイトが浮かび上がるかもしれません。
「他のカフェやレストランではなく、当店を選ぶ理由は何ですか？」
この質問は、競合との差別化ポイントを明確にします。他店との比較の意図が入ることで、単なる来店動機とは異なった回答を得られる可能性があります。具体的な理由を聞くことで、カフェの強みやお客様が感じる価値を深く理解することができます。
「お店に来る際、期待していることや、満たしてほしい欲求は何ですか？」
この質問は、お客様がカフェに期待していることを具体的に知るためのものです。この質問は直球でもいいかもしれません。ここで得られた情報を元に、カフェのサービスや環境を改善する手助けとなります。
これらの質問を通じて得られた答えを分析し、お客様の潜在的なニーズや期待、そしてそれに対する解決策を見つけることで、カフェのコンセプト設計をより具体的に進めることができます。
インサイトは、お客様が言葉にしない深層的な欲求や期待ですので、質問の仕方を工夫し、間接的にこれらを探り当てることが成功の鍵となります。
架空のカフェ「森のカフェ」の具体例
「森のカフェ」の場合、ターゲットである地元住民や家族連れに対して、「自然の中でリラックスできる場所を求めている」というインサイトが見つかりました。そこで、森のカフェでは、緑に囲まれたテラス席を設け、地域の食材を使ったヘルシーなメニューを提供することで、家族が安心して利用できる環境を作り上げました。また、定期的に地域の農産物を使ったイベントを開催し、地域とのつながりを深めることで、地元住民に愛されるカフェとなっています。
競合に真似されにくい自社の得意を考える
そもそも競合とは？カフェの本当の競合を考える
競合とは、同じ顧客層を狙っている他のカフェや飲食店を指します。しかし、単に同業者だけが競合とは限りません。たとえば、コンビニエンスストアやテイクアウト専門店も、カフェの顧客を奪う可能性のある競合となり得ます。カフェの運営においては、こうした広い視野で競合を捉えることが必要です。
「競合の苦手」を整理する
競合の分析を行う際には、競合が苦手とするポイントを見つけ出すことが重要です。たとえば、近隣のカフェがファストフード志向である場合、スローフードを強調することで差別化を図ることができます。また、他店が営業時間に制約がある場合には、24時間営業や早朝営業をすることで、競合の隙間を埋める戦略も考えられます。
「自社の得意」を整理する
自社の強みを活かすことも、競合に対する優位性を保つためには不可欠です。強みとは、他店には真似できない自社だけの特徴や能力を指します。たとえば、地域の農産物を使ったメニューの提供や、特定のコーヒー豆の専門的な焙煎技術など、自社ならではのサービスや商品が競合との差別化を図る鍵となります。
架空のカフェ「森のカフェ」の具体例
「森のカフェ」の場合、競合は主に近隣にある大手チェーンのカフェでした。しかし、大手チェーンは個性的なメニューや地元に密着したイベントの開催には弱いと見られました。そこで、「森のカフェ」では地元の季節ごとの食材を使った限定メニューや、地元のアーティストを招いたイベントを定期的に開催することで、個性的かつ地元住民に愛されるカフェとしての地位を確立しました。
カフェのコンセプトを決める
以上で分析した、カフェのターゲット、顧客のインサイト、競合に真似されにくい自社の強み、この３つを合体させて、１つのコンセプトに落とし込みます。
コンセプトの方針を決める
まず、これまでに行った分析結果をもとに、カフェのコンセプトの方針を決定します。ターゲットとなる顧客層のニーズを満たしながら、競合とは一線を画する独自の強みを生かしたコンセプトを設計します。この段階で重要なのは、特定の特徴やサービスに焦点を当てることです。それにより、カフェの魅力を最大限に引き出すことができます。
コンセプトを1行にまとめる
次に、そのコンセプトを簡潔な1行にまとめます。この1行は、カフェのすべての活動の基盤となり、お客様にお店の魅力を伝えられるだけでなく、現場で働くスタッフ全員が理解し、共有できる明確なメッセージとして機能します。
このメッセージは、カフェのマーケティング、インテリアデザイン、メニュー構成など、すべての要素に反映されるべきです。
架空のカフェ「森のカフェ」での具体例
「森のカフェ」では、ターゲット層は自然を愛する30〜40代の大人で、静かに過ごせる場所を求めています。インサイトとしては、「忙しい日常から離れて、リラックスできる自然環境に囲まれた場所が欲しい」というものが見つかりました。競合他店は、インテリアにこだわったおしゃれなカフェが多い一方で、静けさや自然環境を重視したカフェが少ないため、ここが「森のカフェ」の強みと考えました。
森のカフェでのNG例
一方、次のようなコンセプトはNGです。
これは一見良さそうに見えますが、競合他店でも同じことが言える上、特に目新しさがありません。森のカフェの特長やターゲットのニーズが十分に反映されておらず、競合に埋もれてしまう恐れがあります。
カフェとして売り上げが見込める規模かに注意
カフェのコンセプトがいかに魅力的であっても、実際にそのコンセプトが収益につながるかどうかは、適切な市場規模の分析にかかっています。ここでは、ターゲット層を定義し、競合を把握した上で、カフェのコンセプトが売上を確保できる規模かどうかを判断するための具体的な方法を解説します。
市場規模のデータを収集する
まず、カフェの所在地を中心とした市場規模を把握することが重要です。これには、市町村の人口統計データや観光客数などの情報が役立ちます。具体的には、以下の手順で市場規模を算出します。
市町村の人口データなどは下記サイトが参考になります。
「e-Stat 政府統計の総合窓口」https://www.e-stat.go.jp/
ターゲット層の人口を把握する
カフェがターゲットとする顧客層を定義し、その層に該当する地域住民の人口を調べます。例えば、若い女性をターゲットとするカフェの場合、20代から30代の女性人口を市町村の人口統計データから取得します。
来店率を推定する
一般的な来店率は、さまざまな要因によりますが、目標とする来店者数を予測するために、おおよその来店率を設定します。例えば、ターゲット層の20％が月に1回はカフェに来店すると想定します。これは、過去のデータや類似業態の平均値を参考に設定します。
来店者数の予測
例えば、市町村内に1万人のターゲット層がいる場合、その20％（2,000人）が来店することを想定します。これにより、月間の来店者数の基礎データが得られます。
競合状況の考慮
近隣の競合店の数や、その影響を考慮して、来店率に修正を加えることも重要です。競合が多い場合、来店率を15％に下げるなど、現実的なシナリオを構築します。
収益モデルのシミュレーション
市場規模が把握できたら、次はその市場に基づいて、カフェの収益モデルをシミュレーションします。
客単価の設定
提供する商品の価格帯や、1人当たりの平均購入金額（客単価）を設定します。例えば、コーヒーと軽食を提供するカフェの場合、平均客単価を800円と設定します。
月間売上の計算
先に算出した来店者数に客単価を掛け合わせることで、月間の売上を算出します。例えば、月に2,000人が来店し、平均客単価が800円であれば、月間売上は1,600,000円となります。
固定費と変動費の考慮
売上から、家賃、人件費、光熱費、原材料費などの固定費と変動費を差し引き、最終的な利益を計算します。例えば、月間売上が1,600,000円であれば、固定費と変動費を差し引いた後の利益を確認し、黒字が見込めるかを判断します。
感度分析の実施
売上やコストに変動があった場合のシミュレーションを行い、どの程度のリスクが許容できるかを確認します。例えば、来店者数が15％減少した場合でも、利益が出るかどうかを検証します。
これらのプロセスを経て、カフェのコンセプトが適切な市場規模を持ち、収益を確保できるかどうかの判断がしやすくなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか？今回のコラムでは、カフェのコンセプト設計の考え方とその具体的な作成方法について解説しました。ターゲット顧客のインサイトに応え、競合と差別化を図るためのコンセプトは、ビジネスの成功に直結します。
地方のカフェでは、ターゲット層に合わせた柔軟なアプローチが求められますが、一貫したコンセプトを軸にすることが重要です。この記事を参考に、皆様のカフェが成功に向けて一歩を踏み出すお手伝いができれば幸いです。
カフェのコンセプト設計において、基本的な手順を理解するのは難しくありませんが、実際に効果的なコンセプトを作るのは簡単ではありません。実際に試してみると、この難しさがわかると思います。
もしうまくいかない場合や自信がない場合は、僕のような「集客の専門家」に一度ご相談いただくのもいいかと思います。初回相談は無料で対応しておりますので、安心してお気軽にお問い合わせください！
